中干期???お米農家になってから初めて聞いた言葉です。お嫁に来た頃はなんのことだか全くわかりませんでした。
お米農家は田植えが終わってからも、ずっと田んぼを管理しています。日本のお米はほとんどが水稲なので、水が必要なのです。
日本は島国なので、水があるのはあたり前のように思っていますが、田んぼにはため池のような水ではなく、稲が健康に育つきれいな水が長い期間必要です。ですから、用水路があってその用水を管理することも必要なのです。
話を元に戻して、中干しについてですが、基本水が張ってある田んぼですが、田植後1か月を過ぎるこの時期(6月上旬)に一度水を落として(水を流す)、田んぼの中を乾かすことを言います。そして、中干と同じ時期に溝切りという作業も行います。溝切りとは水を落とした田んぼの中に溝(水路)をつくることです。一度乾かしてから溝をつくると、次回からの水はけがとてもスムーズになるのです。
◆なぜ中干・溝切りをするのか?
1.必要以上な分けつを抑えて、稲の茎を丈夫にするため
2.倒伏防止のため
3.圃場のガスを抜き、根張りを良好に根を健やかにするため
4.収穫までの通水管理を容易にするため
5.収穫作業が速やかにできるようにするため
などなど、さまざまな理由があります。
結果、中干溝切り作業をすることによって、得られることがかなり大きいです。
たとえば、倒れにくく丈夫で健康な稲に育つということは、お米の粒もきれいで未熟米なども少なくなりますし、美味しいお米がたくさん獲れるという事になるからです。
なによりも、品質の良いお米が収穫できる←ここだいじです!!
溝切の方法は大きく分けて2種類あります。
というか、専用の機械を2種類使い分けています。
一つは田植機に取り付けて使う①溝切機。↓
もう一つは②田面ライダー。
水を抜いた田んぼはドロドロで、吸着力が半端ないです。
多面ライダーはほぼ自力で運ばないといけません。エンジンはついているけど、これで100筆以上の田んぼを作業するのはかなり重労働ですし、時間も相当かかります。でも、小回りが利きますし、あまり稲を傷めずに済みます。なので、岡元農場では、面積の小さい田んぼや田植機が入りにくいところだけ田面ライダーを使います。
なおかつ、機械だけでは完全に水が切れないので、機械作業のあとに手作業で再度まわりクワなどの道具も使ったり手作業でも水がキレイに切れるようにしています。
じつは、この一連の作業、けっこう面倒なのでスルーされる農家さんもいますが、田んぼのなかを一枚一枚、くまなくまわるので、稲の様子、雑草の生え方、害虫や生物など圃場の様子がわかるのです。
ですから、丁寧な米づくりの為には欠かせません。とても大切な作業だと岡元農場では毎年欠かさずにすべての圃場に入って作業しています。
そして、なにより収穫期に本当に差が出ます。適期に刈りとれるので、お米の仕上がり品質も全然違ってきます。
秋になって水切れが悪い圃場は、刈りたくてもドロドロの圃場に大型コンバインを入れることができなかったり、入っても動かせなかったりもします。
それで、刈り遅れになったりすることもありますし、稲の水キレも悪くなってしまったり。。。などなど品質も落ちて、大切な時期に負のエネルギーが回らないように。
と、いうことで 岡元農場スタッフ一同 、今年も良いお米の収穫をめざして、
そしてなによりも、食べて下さるお客様に喜んでいただけるよう最善を尽くして米づくりに励んでいます。
最後まで読んで下さりありがとうございます。
江戸時代から続く米農家で、現在は岡元豊が代表を務めています。
家族経営から平成7年3月に法人化し、有限会社 岡元農場を設立。
現在は、スタッフ5名(うち家族3人)で耕作面積35ヘクタール、主に水稲と地域の特産品である山の芋(加賀丸いも)を栽培する複合経営です。ホームページの情報更新は、主に代表の岡元豊と妻の雅子が行っています。